気仙沼の天気を確認2023年11月28日(火)

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地域おこし協力隊の中井さんが炭窯づくりに汗

炭窯作りに励む中井さん
炭窯作りに励む中井さん

地域おこし協力隊の中井さんが炭窯づくりに汗

 気仙沼市下八瀬地内で、地域おこし協力隊の男性が炭窯作りに励んでいる。
 励んでいるのは、昨年4月から市の地域おこし協力隊として活動する中井寛さん(38)。気仙沼地域エネルギー開発に所属し、林業の現場で働く。
 大阪府箕面市出身で、気仙沼に来る前は仙台市内でイタリア料理店を経営。料理人の経験から「炭火は料理をおいしくさせる魅力がある」と語り、以前から炭作りに興味があったという。
 八瀬はかつて炭作りが盛んだった。旧月立小敷地内には貴重な文化を伝えるため、「八瀬・森の学校」が2012年に新設した体験用の炭窯があったが、経年劣化により1年ほど前から使われなくなっていた。
 このことを知った中井さんは昨年の隊員就任当初から、地域の炭焼き名人でもある森の学校の田村泰二代表(75)に「新しい窯を作りたい」と相談。田村代表も中井さんの強い思いに応え昨年10月、旧窯の解体から作業を始めた。
 窯作りは、中井さんが住む市営野球場近くの敷地内で進めており、大きさは幅1・8~2・4メートル、奥行き3・3メートル。旧窯と同じ大きさで、1回で約450キロ分の炭が焼けるという。
 土は窯の伸縮を抑えるために、旧月立小の窯の土を混ぜながら使用。週末などを利用し、田村代表やボランティアの手を借りて、完成に近づいている。
 田村代表は「難しい窯作りに一から挑戦する人はなかなかいない。ここが炭焼き文化を次の世代に伝えるための場所になってほしい」と願う。
 完成は2月中旬を予定。普段の炭作りだけでなく、イベントや子供たちの体験学習にも活用できるように環境を整える。
 中井さんは「地元にあるものを継承し、よりよくすることが地域おこしにつながる。作業を通じてできた交流の輪を、窯を活用することでさらに広げていきたい」と意気込んでいる。