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志津川淡水漁協でサケの採卵いまでにできず

八幡川に設置している捕獲用の「やな」
八幡川に設置している捕獲用の「やな」

志津川淡水漁協でサケの採卵いまでにできず

 南三陸町の志津川淡水漁業協同組合による今季の川サケ漁が、依然として採捕・採卵できない異例の状況となっている。例年ならば10月下旬には1回目の採捕を行っているが、今年は親魚はほぼ入っていない。採卵が11月にずれ込むのは、台風被害などを除けば初めてで、組合では先行きに不安を募らせる。
 同組合によると、八幡、水尻の両河川のやなに10月にサケが入ったのはわずか1匹だけ。今月2日には、八幡川の「やな」の清掃時に雄雌合わせて数匹を捕獲したが、採捕の目安としていた十数匹にほど遠いほか、卵が成熟していないことなどから採卵できる状態ではなかった。
 東日本大震災後のシーズン実績は、2012年の9千匹・600万粒をピークに減少している。21年は最少の約600匹・30万粒、22年は約950匹・57万粒と激減し、今季も不漁は覚悟していたが、「いまだに累計で10匹も入っていないのは異常」(同組合)だ。
 不安要素は、自河川分の採卵数だけでない。昨季は、豊漁だった北海道の河川から数百万粒の卵を移入したが、今季は不漁の情報が入っており、県の調整次第とはいえ卵の確保は厳しくなる見通しとなっている。
 同組合では「ある程度まとまって採卵することが理想だが、そうは言っていられない状況なので、数は少なくとも何とか今週中に採卵したい。あとは少しでも遡上してくれることを願うばかりだ」と話している。