ヨシキリ高値続く
ヨシキリ高値続く
気仙沼魚市場で、近海マグロはえ縄船や大目流し網船などが水揚げしたヨシキリザメの高値が続いている。10月のキロ当たりの平均取引価格は266円で、昨年同月より44円高かった。円安の影響で国産物の人気が高まる中、新型コロナの5類移行で飲食需要が回復したことなどが影響していると見られる。
気仙沼漁協がまとめた月ごとの集計データによると、ヨシキリは昨年9月以来、キロ平均200円超えの高値が続いている。今年7月までは、おおむね200円台前半で推移していたが、8月以降はキロ平均260円を超えるようになった。
高値続きの要因は、長期化する円安の影響や飲食需要の増大と考えられる。サメ類を扱う業者は「円安で輸入物と国産物の価格に大きな差がなく、同じような価格帯なら信頼度が高い国産物が好まれるため、引き合いが強くなっている」と語り、別の業者は「新型コロナの5類移行で規制がほぼなくなり、都市部での会食も復活した。それにより、フカヒレなどの需要が高まっている」と話す。
8月以降の高騰は「冬に向け、はんぺんなどの鍋物食材の原料調達が活発化しているのでは」と分析する声も。買い受け人からは「われわれには厳しいが、情勢が情勢だけにどうしようもない」などの声が聞かれた。
ヨシキリなどの高値により、このところ同市場に入港する大型近海はえ縄船では、3千万円超えの水揚げが相次いでいる。
8日は、地元の「けせん丸」(149㌧)=気仙沼かなえ漁業=がヨシキリ54㌧や、平均71㌔サイズのメカジキ16㌧(230匹)など計79㌧を揚げた。キロ平均単価はヨシキリ247円、メカ1156円などで、金額は3346万円に上った。
漁場は、北海道東沖。ちょうど1カ月の航海で23回操業し、満船で帰港したという。三浦和明漁労長(50)は「ヨシキリもメカもバランスよく取れる恵まれた漁場。今後も好漁と好値が続くことを期待したい」と話した。