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志津川サケふ化事業昨季以上に厳しい

サケの捕獲・採卵が始まった
サケの捕獲・採卵が始まった

志津川サケふ化事業昨季以上に厳しい

 南三陸町の志津川淡水漁業協同組合(及川善祐組合長)による今季のサケ捕獲・採卵が10日、八幡、水尻の両川で始まった。親魚の遡上が極端に少ないことなどから、例年より2週間ほど遅い異例のスタート。初日の捕獲数は19匹、採卵数は約1万6千粒にとどまり、組合員は大不漁だった昨季以上に厳しいシーズンになると予測している。
 同組合では例年、10月下旬に捕獲・採卵をスタートするが、今季は遡上数が少ない上に採卵可能な魚も入らず、2週間遅れてようやく初採卵となった。
 この日、八幡川では、組合員3人がやなから網で放流から「5年以上」(組合員)とみられるものなど、雄8匹、雌9匹を揚げた。水尻川で捕獲した雄2匹を含め、川岸で採卵、受精作業を行った後、トラックで慎重に小森ふ化場まで運んだ。
 同組合によると、昨年の初日(10月25日)は12匹・約7千粒を採卵した。シーズン全体では952匹・約57万粒と、捕獲数は東日本大震災後3番目に低かった。
 今季は初日は昨年を上回ったが、昨年はこの日までに200匹以上の捕獲があったことを踏まえると、厳しい状況だ。
 今季目標は採卵が他河川からの移入、海産親魚を含めて500万粒(自河川分は60万粒)、放流は400万匹。ただ、昨年の移出元である北海道も不漁なほか、海産も魚市場への水揚げが少ないため、卵をどれだけ確保できるかは不透明だ。
 同組合の千葉純一事務局長は「19匹はすごく少なく、(このままでは)自河川分の目標達成も厳しい。今年も他に移出をお願いしているが、昨年のようには難しいと思う。毎年右肩下がりの中、少ない資源を大切に育て、いつの日か帰ってくるのを願うのみだ」と話した。