気仙沼の天気を確認2023年12月10日(日)

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「さんまパイ」が復活

コヤマ菓子店が発売する「さんまパイ」
コヤマ菓子店が発売する「さんまパイ」

「さんまパイ」が復活

 気仙沼市魚市場前の「コヤマ菓子店」(小山裕隆社長)が18日、新商品「さんまパイ」を発売する。長年、市民に親しまれながら、5年前に姿を消した同名の菓子を基に、製法やパッケージをリニューアル。サンマの大量水揚げでにぎわった頃の活気を取り戻したいとの願いを込め、復活させる。
 元祖の「さんまパイ」は、昭和60年代に気仙沼菓子組合有志による「気仙沼銘菓会」が開発。小山社長の父で、コヤマ菓子店4代目店主の故・隆市さんも中心メンバーだった。
 気仙沼を代表するサンマを使い、港町の土産品として親しまれたが、売り上げの不振とともに取扱店が年々減少。2018年に販売を終了していた。
 今回、新商品の企画を練る中で市民から聞かれたのは、「仕送りの中に入っていた」「神棚、仏壇に供えていた」など、「さんまパイ」にまつわる思い出。改めて市民に愛された菓子だったことを知り、気仙沼菓子組合の承諾を得た上で、製法も形も全て変え、独自の復活に乗り出した。
 新たな「さんまパイ」は風味を強く出すために発酵バター100%のパイ生地を使用。生地とガレットを層状に重ねており、食べ応えが増した。
 後を引く甘さがない「きび糖」、市内の水産加工会社が作ったサンマ節を粉末にしてふりかけるなど素材を厳選。無添加で子供も安心して食べられる。
 パッケージには、道端に落ちた大ぶりなサンマを加えたネコのイラストが描かれており、「サンマの大漁で沸いた昔の気仙沼をイメージした」(小山社長)という。
 1枚の大きさは、土産物として手に取りやすいよう元祖と比べて3分の1ほど。1箱7枚入り(税込み2160円)で、店の再建4周年を記念して売り出す。18、19日のみバラ売り(1枚216円)する。
 小山社長は「先代が抱いた思いを引き継ぎ、宮城、東北を代表する菓子として発信したい。素材にこだわった新しいさんまパイのおいしさを、多くの人に味わってほしい」と話している。